【BiSH】Episode71 モモコグミカンパニー「これからは自分から手を伸ばしていきたい」
全国19箇所23公演に及ぶグループ史上最長最大規模のホール・ツアー”NEW HATEFUL KiND TOUR”を完走し、そのツアー・ファイナル公演となったNHKホールで圧倒的なライヴを行った"楽器を持たないパンクバンド”BiSH。今年は紅白出場を目指す事をはっきりと宣言し、ますます勢いが止まらないBiSHに、11周目となるメンバー個別インタヴューを敢行。第2回は、モモコグミカンパニーの声をお届けする。
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INTERVIEW : モモコグミカンパニー
モモコグミカンパニーから発せられた「儚い」ということば。どんなに勢いがあっても、どんなに有名になっても、永遠ではない。だからこそ頑張らないといけない。とても地に足のついたことばだし、それを理解した上で、彼女たちがどのようにBiSHを育てていくのかが楽しみでならない。前回のアイナのインタビューもそうだが、11周目の個別インタヴューにして、確実に彼女たちの考え方は変わってきている。そのことを感じてもらえたら幸いだ。
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 井上沙織
写真 : 大橋祐希
BiSHは特に6人が集まっているのが儚い
──遡って伺いますが、大阪城ホールでのライヴはどうでしたか。
モモコグミカンパニー(以下、モモコ) : 私はこの日の為に頑張りましたね。ライヴが決まってから、大阪城ホールの為に個人的に毎日頑張っていました。メンバーもみんな頑張っていたと思うんですけど、BiSH全体でたくさん練習しようという感じではなくて。大阪城ホールはアイナの夢の舞台みたいになっていたけど、個人的にも憧れがあって、その日までに自分を整えておかないといけないと思って毎日過ごしていました。
──幕張(〈BRiNG iCiNG SHiT HORSE TOUR FiNAL “THE NUDE"〉)以来の大きな会場でしたが、幕張と大阪城ホールではどんな違いがありましたか?
モモコ : 幕張はみんなで考えて作り上げたから一体感があってエモかったと思うんですけど、大阪城ホールは一瞬で散ってしまうような儚さがあってキレイだったかなと。大きい会場でのライヴってその日だけって感じですけど、それまでどうやって過ごしてきたかっていうのが全員人間だから滲み出るというか、こういう日々を過ごしてきたからこういうBiSHになる、みたいなのがあると思うんですよね。それに大阪城ホールは衣装が途中で変わったり、山田健人さんの映像とか、会場のお客さんたちとか、周りがBiSHを持ち上げてくれていたから、周りに感謝しないといけないなと感じてました。BiSHという6人の集合体は儚いものだけど、うちらだけで立っているんじゃないと思えたライヴでした。
──BiSHは儚いですか。
モモコ : どんなグループもそうなのかもしれないですけど、BiSHは特に6人が集まっているのが儚いなと感じるんです。
──永遠ではないと感じているということ?
モモコ : 永遠ではないっていうのはグループ特有ですよね。楽器を持たないパンクバンドって言っているけど儚さはあると思うし、やっぱり集まるならこの6人だなって思うので。私はBiSHが始まってから貴重な毎日だと思って過ごしていて。上手くいっていたり運がよかったりするからこそ、不思議な毎日を過ごしているからこそ、永遠ではないだろうなと思います。自分も人間だし年はとっていくし。みんなはもっと歌いたいとかあるのかもしれないですけど、私はBiSH以外だったら歌いたいと思わないしステージに立ちたいとも思わないんです。
──なるほど。最近はWACKの所属グループもずいぶん増えましたけど、他のグループについてはどう思っていますか?
モモコ : みんな好きで、他のグループの曲も聴いてますよ。最近だとGANG PARADEのライヴ映像を見てカミヤさん格好良いなと思ってます。カミヤさんの脱退悲しいです。
──脱退発表には驚きましたけど、嫌な感じはなかったですよね。
モモコ : カミヤさんは潔さがありますよね。坊主にしたときも潔かったですし、グループに全部捧げられる人っていう感じが格好良かったし、何度も立ち上がる人というか、意志がはっきりしていて。カミヤさんがいるだけで締まりますよね。見習いたいです。
表に出るところ以外での生活もちゃんとしたい
──大阪城ホールから〈NEW HATEFUL KiND TOUR〉まで4ヶ月ほどありましたが、BiSHとしてTVに出演する機会が多かったですよね。
モモコ : 私、テレビ出演が苦手なんですよね…。
──テレビの何が苦手なんですか?
モモコ : 収録時間は短いのにずっといなきゃいけないじゃないですか。本当に個人的な問題なんですけど、ずっと同じ場所にいるのが苦手で。そのときは周りにも心配されていて、リンリンに「外の景色が見れるVRすれば?」って言われて。しかも持ってきてくれたんですよ。それでお花畑の映像を見させられて(笑)。すっごい心配されてるじゃんと思って。
──VR! 最高ですね(笑)。
モモコ : でも酔っちゃったのでVRはちょっと違うかな(笑)。自分で上手く息抜きができればいいなと。
──その時期アイナは秘宝館に行ったと言っていましたけど、モモコは何か印象的な出来事はありましたか?
モモコ : アイナが秘宝館に行っていた時、私は奥多摩の方に滝を見にいってました。
──BiSHみんな疲れていたんじゃないかな…。
モモコ : 疲れていたんですかね。自分を見つめ直したい時期だったので行けてよかったです。この間対談の企画で憧れのいしわたり淳治さんに会ったんですよ。その中で「言葉を大切にしている人は手ごたえのある毎日を送った方がいいよ」って言われて。
──手ごたえのある毎日?
モモコ : 表に出ているとき以外に自分がどういう感情で生きているか、どういう人と関わっているか、どういうことを思ったかとか、そういうことがすごく大切だって。表に出るところ以外での生活もちゃんとしたいなって改めて思いましたね。
──それから何か変わったことはありますか?
モモコ : 実際に何かを変えたわけじゃないですけど、人間としてちゃんと生きていられたらいいなと思いました。表に出るときだけちゃんとすればいいと思っちゃったら、下手すると起きるのも遅くなるし、私生活の面倒臭いことは全部やらなくなっちゃう気がするんですよね。だから私生活もちゃんとしたいなと。
──モモコはいつも自分の時間を大切にしようと意識していますよね。取り巻く環境が変わって少しくらい調子に乗っていてもおかしくない中で、地に足を着けた生活をしたいと言えるのはすごいと思います。
モモコ : 状況が変わったりしても自分の中にオアシスを持つというか、自分がちゃんとしていれば惑わされなくなるんじゃないかなって。前は気持ちを振り回されがちで周りからも心配されたから、惑わされないようにちゃんとしていたいです。
もっと積極的に人と関わっていこうと思いました
──〈NEW HATEFUL KiND TOUR〉はBiSHにとってどんなツアーになりましたか。
モモコ : 前のツアーは知ってもらうツアーだったんですけど、今回はもうちょっとBiSHを詳しく観てもらえたらいいなと思ってて。MCのフリートークでメンバー個人やBiSHの中身を知ってもらって、いろんな人の視点で良さを見つけてほしいなと思っていました。楽曲でもいいし、ハシヤスメの面白さでもいいと思いますし(笑)。生のBiSHを感じてもらえたらと。
──ハシヤスメの面白さは磨きがかかっていましたね。
モモコ : ハシヤスメの面白さがわかる人はいい人ですね。ちゃんとわかってほしい。
──ははは(笑)。
モモコ : そこをわかっている人はちゃんとBiSHを観てくれたって思いますね。
──BiSHとして今後の目標はありますか?
モモコ : みんなで言っているのは東京ドームですね。
──個人では?
モモコ : もっと積極的に人と関わっていこうと思いました。人との距離を縮めるのが本当に苦手なんですけど、こもっちゃうと周りに何も伝わらないから、積極的に関わることを恐れないようにしなきゃいけないなと思ってます。最近プー・ルイさんに「ご飯行きましょう」って自分から言えたんですよ…(照)。そういうところから始めてみて。
──いいですね(笑)。
モモコ : いまのBiSHってすごく恵まれていて、手を伸ばしたらなんでもできそうな気がするんですよね。でも私はその手を伸ばす力があんまりなくて、地道に頑張ることしかできないから、これからは自分から手を伸ばしていけたらいいなって思います。
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RELEASE INFORMATION
Live Blu-ray / DVD「And yet BiSH moves.」
2020.01.15 OUT!!
[初回生産限定盤]
Blu-ray+Live CD2枚組+PHOTOBOOK(100P)
それでもBiSHは開けているBOX仕様
¥10,000 (tax out) AVXD-92887/B~C
[DVD盤]
DVD
¥4,500 (tax out) AVBD-92888
PROFILE
アイナ・ジ・エンド、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの6人からなる楽器を持たないパンク・バンド。BiSを作り上げた渡辺淳之介と松隈ケンタが再びタッグを組み、彼女たちのプロデュースを担当する。ツアーは全公演即日完売。1stシングルはオリコン・ウィークリーチャートで10位を獲得するなど異例の快進撃を続けている。