【ハイレゾ独占配信】Borisの音の渦に呑み込まれて乾涸びろ!! これが世界最高峰の”より豊かな音楽”だ!!
1992年より活動開始。つまり結成25周年! 海外での評価が恐ろしく高く、ドゥームの重鎮サン O)))との共作、ナイン・インチ・ネイルズの全米アリーナツアーをサポート、オール・トゥモローズ・パーティー等の大規模フェスへの出演、幾度となるヘッドライン・ツアー、日本ではメジャー・レコード会社、エイベックスからのリリース経験もあるBoris。ヘヴィーな作品では大文字BORIS、実験的な作品では小文字borisと名義を使い分けていたが、近年ではその双方を盛り込んだ形態としてBoris名義で作品をリリースしている。そして彼らは2017年7月12日に、アルバム『DEAR』をリリース。ぶっちゃけ、じっくり聴かなくたって良い。これがなんなのかなんて考えなくていい。ただただ爆音で、音の渦にのまれてほしい。この音源がなんなのかは、あなたが音の渦に呑み込まれて乾涸びたあとに、じっくり以下のインタビューを読めば良いのだから。
ってことで、乾涸びた皆様のために、OTOTOY編集長でありバンド・Limited Express (has gone?)の飯田仁一郎が、Takeshi (Vocal/Bass/Guitar)、Wata (Vocal/Guitar)、Atsuo (Vocal/Drums)にじっくりインタビュー。まぁ、Wataはほとんど喋ってくれませんでしたが(笑)。
ハイレゾ配信はOTOTOYのみ!!
Boris / DEAR
【Track List】
(Disc 1)
01. D.O.W.N -Domination of Waiting Noise-
02. DEADSONG -詩-
03. Absolutego -絶対自我-
04. Beyond -かのひと-
05. Kagero -蜉蝣-
06. Biotope -ビオトープ-
07. The Power
08. Memento Mori
09. Dystopia -Vanishing Point / 何処へ-
10. Dear
(Disc 2)
01. More
02. Evil Perspective -イビルパースペクティヴ-
03. D.O.W.N -Domination of Waiting Noise- (Full Version)
【配信形態 / 価格】
【左】WAV、ALAC、FLAC(16bit/44.1kHz) / AAC
単曲購入 257円(税込) まとめ購入 2,469円(税込)
【右】WAV、ALAC、FLAC(24bit/96kHz) / AAC
単曲購入 257円(税込) まとめ購入 2,469円(税込)
※アルバム購入者にはブックレットのPDFファイルが付属いたします
※Disc2はアルバム購入者のみのダウンロードとなります
アルバムを購入した方3名に、サイン入りポストカード・セットをプレゼント!!
応募方法は、こちらからプレゼントの応募を選択し、
・購入した際のOTOTOYに登録してあるメールアドレス、もしくはOTOTOYに登録のTwitterアカウント名
・購入時に送られてきたキュー番号
・お名前
をご記入の上お申し込みください。
※締切 : 2017年8月31日(木)23時59分まで
※OTOTOYへの登録はこちらから
※プレゼントの当選者さまにはメールにてご連絡させていただきます。
INTERVIEW : Boris
すでにカウント不可能な数のリリースを重ねるBorisから届いた『DEAR』は、構造は難解で、なによりヘヴィーでスロウで、一聴ではその無数に存在する隙間をどう考えて良いかわからない。だからその意味をひたすらもとめる旅が始まる。大きなクエスチョンが無数に広がるアルバムではあると思う。そのクエスチョンに少しでも答えたく思い、本インタビューではフェイズ事に疑問を定めながら掲載してみたいと思う。少しでも、あなたの疑問が晴れることを願い。まずは、この『DEAR』がどのようにして生まれたのかを訊いてみよう。
インタヴュー&文 : 飯田仁一郎
編集 : 高木理太
編集補助 : 阿部文香
写真 : Miki Matsushima
※文中のライブ写真はMiki Matsushimaによる初公開の写真となっております。
インタビューと併せて、そちらもお楽しみください。
☆Boris流のアルバムの創り方
──結成25周年という節目もあると思いますが、今作『DEAR』はいつ頃から作ろうという構想があったのでしょうか?
Atsuo : 具体的には2014年の後半には、『DEAR』に入ってる曲が何曲かはありましたね。 多分「DEADSONG -詩-」、「Kagero -蜉蝣-」、「Biotope -ビオトープ-」、「The Power」とか。
──アルバムのコンセプト・イメージを先に作るんですか?
Atsuo : いや、違いますね。今回もツアー中に作った最後の曲「Dear」がアルバム・タイトルになったりとか。段々とフォーカスがあっていく感じ。
──フォーカスがあっていくというと?
Atsuo : 制作とともに徐々にコンセプトが見えてくる。改めて分析すると、こういうコンセプトになっているな、みたいな感じで。いつも曲が教えてくれる。
──このアルバムが出来たときに見えてきたコンセプトはどんなものだったんですか?
Atsuo : 最初はシンプルに自分たちのやりたいこと、「より豊かな音楽」というのに向かっていきたいな、という感じでした。とにかくシンプルに曲を作る。去年『PINK』(2005年11月18日)ってアルバムの10周年で、そのアルバムの再発とツアーをやりまして、色々な国のたくさんのオーディエンスの顔を見てきました。今回のアルバムがまた25周年というタイミングで出ることになったので、世界中のリスナーに改めて手紙を渡すような感じというか。感謝の気持ちの代わりに、音楽をそのまま手紙として渡す、今回はそんな気持ちです。だから『DEAR』というタイトルに落ち着いた。
──じゃあ本当に、言葉通りの感謝の気持ちなんですね。
Atsuo : そうですね。それを言葉にしたくないんで、音楽で届けたいという感じです。
『DEAR』を聴き始めると、とにかくそのヘヴィーさに、そしてアタックの存在しない空間に広がるフィードバック・ノイズが、あまりにもかっこ良くて鳥肌が止まらない。まさにスタジオで爆音で鳴っている音がそのまま鮮明に記録されているのだろうし、もうBorisの一番気持ちいいとこはそこなんだと思う。なのでやはり聴いてみたかった、レコーディングの仕方。
☆Borisのレコーディング
──今回のアルバムのレコーディングもそうですけど、普段レコーディングはどうしてるんですか?
Atsuo : ずっとセルフ・レコーディングです。ミキシング・ブースもないですし。普段のリハーサル・スタジオに自分達でマイクを立てて。
──えぇ! それであの音なんですかっ!?
Atsuo : ミックスはPEACE MUSICの中村宗一郎さんにやってもらって。ずっと中村さんにダメだしされながら(笑)。「何、この音」、「こんなトラックいらないじゃん」ってずっと言われて。一時期すごいトラックが多かったんですけど、だんだんと減っていって。
──今は、何トラック位?
Atsuo : そうですね。20トラックくらいかな。
──あっ、少ない...
Atsuo : 最近、ベーシックは1発録りの曲が多いですし、そんな何本もあってもしょうがないじゃん?みたいな感じになってます。濁ったり、隙間が埋まっちゃったりするので、トラック数は大分減りました。
──なるほど。その録りの音は、メンバー皆さんで?
Atsuo : そう。マイク立てて、スタート・ボタン押すだけ。
Takeshi : いつもリハーサルしているスタジオで、ちょっとアンプの向きや並べ方を変えたりするだけだから「今日はレコーディング」という特別な感じでもないし。
Atsuo : モニター・スピーカーに繋いでチェックとかも一切しないですしね。ミキシング・ブースも無いですから。”釣れた音”をどうするか? みたいな感じでいつもやってます。取り返しのつかない感じの音になってる方がいいですね。
──あとはもう中村さんが料理してくれるだろうっていう感じですか?
Atsuo : 料理というよりも、中村さんってポスト・プロダクションを徹底的にやるような人じゃないんですよ。骨格をよりむき出しにしてくれる。粘土をつけていくというよりは、木を彫るみたいにガンガン削って、骨格をむき出しにしてくれる。僕らがライヴでやっていることもそうですけど、中村さんのミックスもとにかく体感型のミックスなんです。ヘッドホンとか使わないし。ヘッドホンとかで聴くとノイズとかすごく多いですけど、それよりも身体にグッとくるキックの体感出来る音域とかのほうが重要で。身体込みで音楽を聴くというのが、ライヴもミックスも共通の理念っていうのはありますね。
──じゃあ、レコーディングもヘッドフォンなしで?
Atsuo : とにかく音のひだひだとか、手触りとかが大事なので、基本しないです。歌録りとか、オーバーダブの時ぐらいはしますけど。それに、クリックを使わないしね。
──レコーディングの時にセパレートで録るなんて馬鹿野郎みたいな感じですか?
Atsuo : それはもう絶対! ドラムにギターの音被った方がかっこいい音で録れるに決まってます。”ゾン”って響きがドラムと一緒に残る感じ。日本って特に住宅事情のせいもあって、ヘッドフォンで音楽を聴くことが視聴体験の基準とされてしまっていて、音楽の豊かさとか情報量が損なわれてしまっている気がする。チェックのためにヘッドフォンは使いますけど、基本的にミックスは身体で聴きながら制作を進めます。ドンと身体にくればそれでいいじゃん! みたいな。ヘッドフォン中心に音楽制作を進めると「耳でわかる為の音楽」になりがちだと思います。身体で感じられる音楽を作りたいですね、自分達は。
──がっつり中村さんがついてやっていると思っていたので、びっくりです。
Atsuo : 元々レコーディングは、ミュージシャンに負担になるシーンが多いじゃないですか。
──どういうことですか?
Atsuo : 時間内にやらなきゃいけないとか... プレッシャーの中でやっても絶対にいい音楽が生まれるわけないですよね。楽に、気心知れたメンバーだけで、いくら失敗してもいいような環境で進めた方がいい。スタジオで自分達にしか出せない音が鳴っていて、それをただ録音する。
Takeshi : リハと同じような感じで一回合わせて、普段と同じ空気感で3人一緒にやるっていう。レコーディングも全然雰囲気が変わるわけじゃないんで。
──それって、ずっとそうなんですか?
Atsuo : もう10年以上はこんな感じですね。
──この話、特に若いミュージシャンはびっくりすると思うんです。「えー、そんな録り方でやってんの! 」みたいな。それこそどんどん進歩して今なんて完全セパレートとかで皆やってたりするじゃないですか。
Atsuo : 自分たちからしたら「アホか」って話ですよ。人のコントロール出来る事なんてたかが知れてるので。音とその空間、奏者が生み出す現象も取込んで音楽を作っていった方がより豊かな音楽になると思いますけどね。
Takeshi : 録った後でね、ギターだけ修正しましょうとか、ドラムだけ修正しましょうとかできないし。むしろしませんしね。
──それがまったくBorisにはないってことですもんね。
Takeshi : 音のアタック感がちょっとずれたりとか、少し濁っていたりっていうのがありきで音楽なので。そういう、自分にとってかっこいい音の方が大事ですね。音響的に、数値的に良い音と音楽的にかっこいい音って別の問題で、そこは自分たちの美意識だしね。
最近は、演者全員がヘッドフォンでクリックを聴きながら録音するのが主流ななかで、3人で一緒にその音を感じながら録音をすると言うスタイルは、簡単に話しているようだが、めちゃくちゃ難しい。更に言うと、「”修正できない”ことを良しとする」なんて、自分たちのならすサウンドの核に強烈な信念がないと絶対に言えない言葉。多くのミュージシャンとは真逆を行く彼らのレコーディング方法、そして音を詰め込むのではなく、抜くことを快感とするそのBorisでしかない個性は、どのように生まれたのか?
☆Borisの個性
──それにしても、Borisのこの音を再現するのは簡単じゃないですよ...
Atsuo : パッと音を聴いたら、ちょっと楽器やった人ならば直ぐ演奏できることだし、機材があれば「こんなのできるじゃん」って思われるかもしれないけど、同じ機材を提供して演奏してもらっても絶対Borisの音にはならないと思っていて。そこはこの3人でしかできないっていう自負がありますね。特に今作はわかりやすく言うとヘヴィーでスローな感じなんですけど、自分たちの中ではもっとオーガニックという言葉が適切かな。7分とか尺があっても、小節は30小節もなかったり。弾くことよりも、弾いた音と次の音の間、3人でしか生まれない「間」、空気感であったり、響き、揺れ、ずれとかそういったものが僕らの音楽の主な構成要素になっていて、今回は特にそれらへフォーカスしている。
──なるほど。その「間」みたいなものは、Borisが進化してきた結果ですかね?
Atsuo : より突き詰めたところですね。もともとドローンとかアンビエントみたいなのは自分たちのスタイルとしてあったし、ここ数年はポスト・プロダクションとか徹底的にやってみるという時期もあって。その中でより情報量が多く、豊かな音楽ってなんだろう?ってなった時に、逆に削ぎ落としていくことで、音と音の間の情報量、豊かさが出ることを実感していった。
──その「間」というか、7分もあるのに30小節しかないとかってどう決まっていくんですか? 3人でセッションしているタイム感だとは思うんですけど、そのタイム感ってどうすれば構築されていくのかなと。
Takeshi : そこはもう、スタジオで鳴っている音が、次の小節への行くきっかけをくれたりするんです。自分の意識だけではコントロールできない、生まれてこないというか。3人で音を出しながら、お互いを聴きながら、それぞれが拍を取りながらっていうのも勿論あるんですけど、3人の出した音の波が干渉してきて、その高まりの一番気持ちいいところで次の小節に変わるとか。
Atsuo : 雑音がフィードバックに変わった後に、次の音に行っていいタイミングが僕らの中に生まれたりする。そのタイミングは、空気、音が教えてくれる。自然現象と対話している感じですね。
──それができるようになるのは、バンドの歴史に通じるんですかね?
Atsuo : そうですね。気がつくともうこの3人じゃないと絶対できないですしね。
──ですよね。絶対できないと思います(笑)。
Atsuo : 世の中便利になって楽曲制作も音源使ったりとか、グリッドでループをコピー&ペーストできるけど、僕らはスタジオで時間を費やしてリハを重ねて、お互いの糊代を確認しつつ、そこで生まれ得る音楽、方法論を育ててきた。ファイルを共有して楽曲制作とかは出来ないですね。3人が同じ空間に居合わせ、そこで繰り返し自分たちの身体に叩き込むしかない。譜面は一応あるんですけど、ざっくりした構成表があるくらいです。ツアー前は、あれこれ頭で考えなくても演奏できる状態まで、身体が自動演奏してくれるまで持って行って、あとはもうステージの上から目の前の風景に集中。そこで起こる音の現象とか、オーディエンスからのフィードバックも込みで、その風景と対話していくようなショウですね。自分達のライブは。
Takeshi : でも基本、タイム感は合ってなくてメンバー全員バラバラなんですよ。
──そうなんですか!
Atsuo : 結局、合っちゃうと、その”点”という情報しかないじゃないですか。世間ではグリッドありきの曲作りが主流ですけど。その点に対して前にあったり後ろにあったりするっていうことは豊かさとして捉えていいことだと思っていて。そういう「ずれ」、「揺らぎ」込みで音楽と捉えてます。
──そうなんですね。個々が気持ちいい点を刻んでいくけど、無理やりバンドとして合わせていくのはやらないんですね!
Atsuo : そうですね。だからエンジニアの中村さんには「ぐにゃっとしてる」とか「キレが悪い」って言われます。笑。そのキレの悪さも僕らは自分たちの持ち味として、音楽の構成要素として捉えているというか。また話は別ですが、一般的に「余白がある」って真空とか白い背景に絵を描いたりするイメージだと思うんですけど、僕らの場合は余白にもともとのテクスチャーや、それまでの場所の記憶、文脈がもう既に描かれている。落書きだらけの壁の上に絵を描いていく感じなんですね。そうやって楽曲を作っている感覚です。
ここまで読んでいただけると、もはや、Borisがいかに他のバンドと違うかはわかっていただけたと思う。では、最後に彼らはBorisで何を描こうとしているのか? 更に核の部分に踏み込んでみよう。
☆Borisの描く世界
──今回のアルバム『DEAR』のような音になっていった要因を皆さんが解説すると、どんな答えになりますか?
Atsuo : それはやっぱり「豊かさ」を追求したんだと思うんですよね。サプリメントみたいなものではなくオーガニックなもの、素材の良さを求めた結果というか。
Takeshi : 料理でいうなら虫がかじった跡のついた野菜もそのまま出すような感じですよね。
Atsuo : それでも、僕らの音は珍味、ゲテモノ料理だとは思うんです(笑)。ゲテモノを扱ったオーガニック料理というか。
──Borisは曲の中で描きたい世界というものはあるんですか?
Atsuo : それはやっぱり音楽が教えてくれることの方が大きいけど、まあ根底には… すごい僕らって厨二っぽいでしょ? (笑)
──どうでしょう(笑)? 話しているとなかなかそういう気持ちにもなってきましたけど、音楽からは伝わらないです(笑)。
Atsuo : なんか「デカい」とか、「壮大」とか、厨二っぽい。全体的に大げさな感じというか。それはもう、育ちかな。
Takeshi : そういうのばっかり好きだったからね。
Atsuo : Takeshiはミリタリー・ファンで、僕はロボットが好きで。変形合体するロボット・アニメばっかりずっと見てて。ロボットの立ち姿とか「見上げる感じ」とかがやっぱり大事じゃないですか。ツアー中にもそういう映像観ながら「うんうん」って、感情移入してしまう。
──ツアー中に観ていたんですか(笑)。移動中の車でですか?
Atsuo : そうそう。結局、ツアー生活という物語の中で、自分達自身がキャラクターみたいになっちゃってる。だからそういう、虚構のストーリーの方が、自分たちにとってすごくリアルだったりする。
──Takeshiさんは、ミリタリー・ファンなんですか?
Takeshi : ですね。
──それはAtsuoさんと同じ感じですか?
Atsuo : いや、そこですれ違いが起こるんですよ。ミリタリーオタクとロボットオタクって同じように見えるじゃないですか。でも巨大ロボットって完全に虚構なので、大げさなアイコンとしてリアリティ側からはダサく見えるんですよ。
Takeshi : そうそう。
──ミリタリーは、よりリアルなんですね。
Takeshi : 現実なんですけど、やっぱり非日常のモノじゃないですか。
Atsuo : リアル・ファンタジーみたいな。
Takeshi : そうそう。本当にリアル・ファンタジーです。メカ好きっていうのと、ロボット好きっていうのって、感覚的に同じだと思うんですよ。日常に於いては手が届かないという意味で。でも、ずれるんだよね。
──共通しているのは、ぎりぎりの状態で戦うみたいなことですかね。
Atsuo : 戦う、というよりもかっこいいメカだよね。存在感だけで畏怖を感じるような。力を求めているわけではないんですけど、絶対的な存在というか。そういう自分達の文化的経験が元々厨二っぽいので、曲が僕らの身体を通して生まれるとやっぱりそういうものが加味されるのは否めない。
──Atsuoさんがロボット・アニメをツアー中に観ているんだって思うと、なんかほっこりしますね。
Atsuo :よく、アニメ一作品全部借りてきておいて、全50話をツアー中に観るとかやってます。そのアニメのクオリティによって、ツアーのクオリティも変わる (笑)。
──ツアー中もずっと、個々の世界で楽しんでるってことですよね。
Atsuo : 歌詞の内容、ストーリーやナラティヴな世界観っていうのは曲自体がが教えてくれて言葉になっていくんですが、元々自分たちの中にある言葉が厨二的なボキャブラリしかないし。そうやってBorisの歌詞、言葉は生まれていく。とにかく感情とかは説明したくないんで、感情とかは見えてくる風景とかそういうもので感じられるようにしたいとは思ってますが。
──Borisは毎年たくさんの海外ツアーをやっていますけど、嫌になったりしませんか?
Takeshi : ツアーに出ている間は「早く家に帰りたい」と思うんだけど、家に帰ると「早く戦場に戻りたい」って感じです。
Atsuo : 自分は、日本にいるとイライラしちゃって。海外にツアーに行っている方がずっと求められている状態でいられるし、生活も逆にシンプルになりますし。ツアーがないとね、先に進めない感じなんですよ。オーディエンスと目と目が合う距離まで行って、色々インプットさせてもらって、スタジオの曲作りの時にアウトプットしていく。オーディエンスだけじゃなくて、世界中の色々な国のその時々の空気、サポートバンド、その他にもいろいろな刺激が受けられる。そういうのを全部身体に入れて、日本に戻ったら直ぐ曲として出す。その循環ですね。だからどっちもないとダメなんです。こうして世界中ツアーをして、好きなことだけで生活させてもらえてるっていうのは本当にラッキーなことだし、幸せなことだと思っています。
自分たちのことを厨二っぽいと言い放った瞬間に、少しだけBorisのことがわかった気がする。あまりにも壮大でヘヴィーで、隙間に差し込むフォードバック・ノイズに圧倒され、ついつい「構造は? 」とか「この音はどうやって? 」とかクエスチョンが無数に広がるけれど、彼らはとにかく無邪気で、気持ちいい音楽を創っているだけなんですね。そしてだからこそ、人はBorisの音楽に共感するし、追い求めてしまうんですね。Limited Express (has gone?)で海外ツアーに回っていた時に、お客さんから「おまえ、Borisって知ってるか? 」ってもの凄いテンションで訊かれたことが多々あったが、その理由は、彼らがBorisのライヴを見て、その無邪気さに虜になっていたってことか! 『理解するんじゃない、感じるんだ! 』そこには、彼らが25年追求し続けた「より豊かな音楽」が鳴っているから。
そういえば、今年のフジロックにAPHEX TWINがトリで出演する。彼もBorisと同じくただただ気持ち良い音楽をやっているのに、なかなか理解しがたいのも事実(笑)。でもそれでも良いから、フジロックに行く人はその音の渦に呑まれてみてほしい。『理解するんじゃない、感じるんだ!』富士の行きすがらはBorisで、苗場ではAPHEX TWINを。それが音楽の快楽を追求するフルコースになることを約束しよう。
RECOMMEND
10月のUSツアーのほぼ全公演に同行が決定しているENDONの2ndアルバム。レコーディングはコンヴァージのカート・バルーが担当し、凶暴かつ繊細なサウンドをさらに色濃いものへと仕上げている。
Borisとレーベル・メイトであるheaven in her armsの前作から約7年ぶりとなる3rdアルバム。3本のギターの音色から構築される静寂と轟音のコントラストは一聴の価値あり。
日本が世界に誇るバンドの1つとして、海外ではBorisと比肩する人気を誇るenvyの最新作(2017年時)。現在はボーカル脱退後の新体制での制作に取り組んでおり、次なる作品に期待が高まるところである。
LIVE SCHEDULE
DEAR Release Party
2017年7月15日(土)@代官山 UNIT
開場 18:00/開演 19:00
前売 3,500yen(+1Drink) / 当日 4,000yen(+1Drink)
w/ Broad Axe Sound System
映像 : rokapenis
Chaos Assault Vol.1
2017年9月22日(金)@渋谷Garret
開場 18:00/開演 18:30
前売 7,500yen(+1Drink)
w/ Sigh , MANTAR
DEAR / 25TH ANNIVERSARY TOUR UK+EUROPE 2017
2017年8月3日(木)@Volta (Moscow, RU)
2017年8月4日(金)@ClubZal (St. Petersburg, RU)
2017年8月5日(土)@Szene (Vienna, AT)
2017年8月6日(日)@OFF Festival (Katowice, PL)
2017年8月7日(月)@Naumans (Leipzig, DE)
2017年8月8日(火)@Lido (Berlin, DE)
2017年8月9日(水)@BrutalAssault (Jaromer, CZ)
2017年8月10日(木)@Backstage (Munich, DE)
2017年8月11日(金)@Das Bett (Frankfurt, DE)
2017年8月12(土)@Rock Altitude (Lausanne, CH)
2017年8月13日(日)@Ieperfest (Ieper, BE)
2017年8月15日(火)@Underground (Cologne, DE)
2017年8月16日(水)@Hafenklang (Hamburg, DE)
2017年8月17日(木)@Forum (Bielefeld, DE)
2017年8月18日(金)@P60 (Amstelveen, NL)
2017年8月19日(土)@Arctangent Festival (Bristol, UK)
2017年8月20日(日)@Whelans (Dublin, IE)
2017年8月21日(月)@Cyprus Avenue (Cork, IE)
2017年8月23日(水)@Empire (Belfast, UK)
2017年8月25日(金)@Nosturi (Helsinki, FIN)
DEAR / 25TH ANNIVERSARY TOUR North America 2017
☆マークの付く公演にはENDONが帯同いたします
2017年10月3日(火)@Strummers (Fresno, CA) ☆
2017年10月4日(水)@Harlow’s (Sacramento, CA) ☆
2017年10月6日(金)@WOW Hall (Eugene, OR) ☆
2017年10月7日(土)@Neumo’s (Seattle, WA) ☆
2017年10月8日(日)@Rickshaw Theatre (Vancouver, BC) ☆
2017年10月9日(月)@Doug Fir Lounge (Portland, OR) ☆
2017年10月11日(水)@The Independent (San Francisco, CA) ☆
2017年10月13日(金)@Institute of Mentalphysics Desert Daze Fest (Joshua Tree, CA)
2017年10月14日(土)@191 Toole (Tucson, AZ) ☆
2017年10月16日(月)@Metro Music Hall (Salt Lake City, UT) ☆
2017年10月17日(火)@Bluebird Theater (Denver, CO) ☆
2017年10月19日(木)@Granada Theatre (Lawrence, KS) ☆
2017年10月20日(金)@The Waiting Room (Omaha, NE) ☆
2017年10月21日(土)@Triple Rock Social Club (Minneapolis, MN) ☆
2017年10月22日(日)@Turner Hall (Milwaukee, WI) ☆
2017年10月23日(月)@Thalia Hall (Chicago, IL) ☆
2017年10月25日(水)@El Club (Detroit, MI) ☆
2017年10月26日(木)@Grog Shop (Cleveland, OH) ☆
2017年10月27日(金)@Mr.Smalls (Millvale, PA) ☆
2017年10月28日(土)@Union Transfer (Philadelphia, PA) ☆
2017年10月29日(日)@Rams Head Live! Days of Darkness (Baltimore, MD)
2017年10月31日(火)@Brighton Music Hall (Allston, MA) ☆
2017年11月1日(水)@Warsaw (Brooklyn, NY) ☆
2017年11月4日(土)@Motorco (Durham, NC) ☆
2017年11月5日(日)@The Concourse (Knoxville, TN) ☆
2017年11月7日(火)@The Masquerade - Hell Stage (Atlanta, GA) ☆
2017年11月8日(水)@Exit / In (Nashville, TN) ☆
2017年11月9日(木)@Saturn (Birmingham, AL) ☆
2017年11月10日(金)@One Eyed Jacks (New Orleans, LA) ☆
2017年11月10日(金)〜12(SUN)@Sherwood Forest Faire Sound on Sound Fest (McDade, TX)
2017年11月14日(火)@Sister (Albuquerque, NM) ☆
2017年11月15日(水)@The Crescent Ballroom (Phoenix, AZ) ☆
2017年11月17日(金)@Casbah (San Diego, CA) ☆
PROFILE
Boris
1992年より活動開始、1996年にTakeshi、Wata、Atsuoという現在のメンバー編制へ。活動当初より自分達の居場所と方法論は自ら作り上げるスタンスで、ワールドワイドに展開。文字通り音を‘体感’するダイナミクスに満ちたライヴで熱狂的なファン・ベースを確立。そのパフォーマンスはナイン・インチ・ネイルズをも魅了し、USアリーナ・ツアーのサポートに抜擢。断続的なスタジオ・セッションを通じ、ほぼ全て自ら録音する‘ひたすら音と向かい合うレコーディング’は代表作『PINK』('05)、『SMILE』('08)、『NOISE』('14)をはじめとする30数作に及ぶフル・アルバム、サン O)))との共作『Altar』('07)他約20作品に及ぶコラボレーション作を産んだ。『ニンジャスレイヤー フロムアニメイション』に書き下ろし新曲3曲と新録1曲を提供('15)したことも記憶に新しい。
また映画『リミッツ・オブ・コントロール』('09)『告白』('10)へも楽曲を提供、映像的と評されることが多い楽曲とのマッチングの良さで、音楽界以外でも注目を浴びている。
2013年より改めてゲスト・プレイヤーを含まない3人編成でのライヴ活動に主眼を置き、メンバー間の相互作用とバランスを更に強化。日本/北米/ヨーロッパ/オーストラリアを中心に行うワールド・ツアーは、現在も規模を拡大しながら2006年以降毎年行っている。
結成25周年を迎える2017年、最新スタジオ・アルバム『DEAR』を全世界同時発表。
アルバム特設サイト : http://www.borisheavyrocks.com/dear/
Official HP : http://borisheavyrocks.com/
Official Twitter : https://twitter.com/Borisheavyrocks