【BiSH】Episode74 アユニ・D「当たり前を裏切って常識を覆すことを自分たちの武器として貫き通したい」
全国19箇所23公演に及ぶグループ史上最長最大規模のホール・ツアー”NEW HATEFUL KiND TOUR”を完走し、そのツアー・ファイナル公演となったNHKホールで圧倒的なライヴを行った"楽器を持たないパンクバンド”BiSH。今年は紅白出場を目指す事をはっきりと宣言し、ますます勢いが止まらないBiSHに、11周目となるメンバー個別インタヴューを敢行。第5回は、アユニ・Dの声をお届けする。
BiSH、6作目のシングルをハイレゾ配信
INTERVIEW : アユニ・D
緊急事態宣言が続く中で、アユニ・Dの声を聞くことができた。ライヴが無くなり、家にいるしかない状況で、彼女たちは何を考え、どのような顔を我々に届けてくれるのか? 少なくともアユニに関しては、全くエネルギーは消えることはなく、まっすぐに清掃員の前で歌う未来を見据えているように思う。また会える未来を信じ、彼女たちと共に懸命にこの緊急事態を乗り越えていこう。
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 井上沙織
写真 : 大橋祐希
最近よくライヴしている夢を見る
──緊急事態宣言中はどう過ごしていますか。
アユニ・D(以下、アユニ) : ずっとお家にいますね。このままだとぐうたら人間になってしまうので、何か始めなきゃと思ってギターを弾いたりしています。技術とか制作面の知識が追い付いていないので、いましかないなと。
──PEDROの予定も全部なくなりましたもんね。
アユニ : 地球がこういう状態になっちゃったので抗いようがないですけど、すごく悔しいですね。最近よくライヴしている夢を見るので、体がライヴしたいって言っているんだなって思います。
──ベースではなくてギターをやろうと思ったのはどうしてなんですか?
アユニ : 自分で弾けたら簡単なデモを作るのにも役立つし、ライヴ映像を観ていてもあれだけ弾けたら気持ちいいだろうなって思いがあって。それに楽器はいくら弾けても困らないですし。今までギターを弾いても楽しいと思わなかったんですけど、できないことをできるようにしようと思ってやっていたら楽しくなってきました。
──ギターを弾いている様子はTwitterに上げていましたよね。
アユニ : はい。「なんでこいつこれ弾いてTwitterに上げられるねん!」ってくらいヘタクソですけど、誰しも最初は初心者だからいいかなって… レコーディングするのが大切かなって(笑)。ひとりでブラーの「Song 2」を弾いて録音して「フゥフゥ!」ってやってます。
──どんなギターを弾いているんですか?
アユニ : 前まで人からもらった古いギターを使っていたんですけど、先日ジャズマスターを買いました。ひさ子さんに相談して。本当は60年代製のものが欲しかったんですけど、高すぎてちょっと勇気が出なくて、まずは手軽なやつにしようと。
──最近はどんな音楽を聴いていますか?
アユニ : ストロークスの新譜が出たのでよく聴いているのと、この期間にたくさん映画を見ていて、その映画で流れていて気になった曲をSHAZAMして調べて聴いています。最近見たのだとウェス・アンダーソンの「ダージリン急行」がよかったです。この人が作る映画の音楽も色彩もすごくいいんですよね。
──アユニが最近憧れる人を教えてください。
アユニ : ベーシストの憧れをよく訊かれるんですけど、誰に憧れてやっているというわけではないので答えられなくて。やっぱりひさ子さんしかいないです。
BiSHに向かってくるエネルギーがないと私たちから放つエネルギーも出しにくい
──2月末にBiSHで無観客ライヴをやってみてどうでしたか。
アユニ : いつもと違う緊張感がありましたね。楽しかったですけど、やっぱりBiSHに向かってくるエネルギーがないと私たちから放つエネルギーも出しにくいなっていうのも感じました。あとダンスも一瞬わけがわからなくなって飛んじゃったんですよ。いつも視界ありきで振付とか覚えているんだなって気付きました。
──それからまた状況も変わってきていますが、アユニの地元である北海道は最初に緊急事態宣言も出たじゃないですか。何か思ったことはありましたか。
アユニ : 個人的に札幌のライヴハウスCOLONYが閉店したのは…。めちゃくちゃお世話になっていたとか思い出があるかというとそんなことはないんですけど、地元のライヴハウスとなると身近な存在な気がして。いまの状況、ライヴハウスとか他のお店とかもかなり厳しいと思うんですけど、ステージに立たせていただいている身として、ライヴハウスがなくなっていくのがつらいですね。
──BiSHはいまどんな状態ですか?
アユニ : メンバーとも全く会ってなくて、ちょうど昨日Zoomで久しぶりにBiSHのみんなの顔を見ましたね。みんな元気そうでした。一昨日夢にリンリンが出てきて、そのことをZoom会議のときに言おうと思ったんですけど恥ずかしくて言わなかったです。
──言ったらいいじゃないですか(笑)。
アユニ : 人と話してなさすぎて、話しかけるのが恥ずかしくて。久しぶりに会う友達が何だか恥ずかしいみたいな感じです。
音楽聴いているときが一番楽しいし、ライヴもしたい
──少し遡って話を聞きますが、〈NEW HATEFUL KiND TOUR〉はどんなツアーになりましたか。
アユニ : ホールツアーだったので会場が広くて、良くも悪くもごまかせなくて。最初から100%の状態でツアーを始めて、ツアー・ファイナルは120%を超えるというのを目標にやっていましたね。PEDROの活動も経て、音楽が本当に好きになってから初めてのライヴだったので、めちゃくちゃ楽しかったです。
──ツアーを終えて、BiSHは変わりましたか?
アユニ : 自分もメンバーも変わったなって思います。みんながどんどん音楽を好きになって、よりBiSHのことを好きになっていて。グループ内のグルーヴっていうんですかね。ライヴでの一体感や高揚感、その後の喪失感とかを感じて、みんな人として成長したというか、人生をかけて音楽やライヴをやっているっていう意識が強まっていると思います。
──なるほど。チッチが紅白に出ると宣言したり、目指す先に東京ドームがあったりする中で、そこに辿り着くためにはどうすればいいと思いますか。
アユニ : OTOTOYのインタヴューでもみんな言ってると思うんですけど、1人ひとりが本当にヒーローにならないといけないんじゃないかなって。他のバンドの人が言っていた言葉を借りると、1人ひとりが赤レンジャーじゃないといけなくて、集まったときによりすごいものになっていかないとダメだなって思います。ありきたりな言葉しか言えないんですけど。面白いことをずっとやり続けたいし、当たり前を裏切って常識を覆すことを自分たちの武器として貫き通したいですね。
──もしみんなで東京ドームにいけたとして、そのあとはどうなるんですかね。
アユニ : どうなるんでしょうね。自分たちでもいま思っている頂上は東京ドームなので、山の頂上がギリギリ見えていてもその先は雲で埋まって見えていないという状況で。紅白もですけど、その先は自分たちにも計り知れないですね。自分のこともわからないし、みんながどうなるかもわからない。
──アユニはずっと音楽をやり続けようと思っているんですか?
アユニ : いまは音楽をやり続けたいと思ってます。明確にはわからないですけどね。答えを見つけ出そうとしてもできないし。でも音楽聴いているときが一番楽しいし、ライヴもしたいです。
LIVE SCHEDULE
ワンマンツアー〈BiSH'S GASP!!GOLD!!GHOST!!GALAXY!!GARBAGE!! TOUR〉
2020年5月21日(木)@神奈川 KT Zepp Yokohama
2020年5月30日(土)@宮城 仙台GIGS
2020年6月4日(木)@東京 Zepp Tokyo
2020年6月12日(金)@福岡 Zepp Fukuoka
2020年6月20日(土)@大阪 Zepp Osaka Bayside
2020年6月28日(日)@北海道 Zepp Sapporo
2020年7月3日(金)@愛知 Zepp Nagoya
対バンツアー〈BiSH’S 5G are MAKiNG LOVE TOUR〉
2020年5月31日(日)@宮城 仙台GIGS - BiSH and ???
2020年6月5日(金)@東京 Zepp Tokyo - BiSH and ???
2020年6月13日(土)@福岡 Zepp Fukuoka - BiSH and ???
2020年6月19日(金)@大阪 Zepp Osaka Bayside - BiSH and ???
2020年7月4日(金)@愛知 Zepp Nagoya - BiSH and ???
※???は、後日発表。
チケット料金情報 :
■通常チケット
1Fスタンディング 5,000円(税込・ドリンク別)
2Fスタンディング 5,000円(税込・ドリンク別)
2F指定席 6,000円(税込・ドリンク別)
年齢制限/ 未就学児童入場不可
前回の記事はこちら
RELEASE INFORMATION
Live Blu-ray / DVD「And yet BiSH moves.」
2020.01.15 OUT!!
[初回生産限定盤]
Blu-ray+Live CD2枚組+PHOTOBOOK(100P)
それでもBiSHは開けているBOX仕様
¥10,000 (tax out) AVXD-92887/B~C
[DVD盤]
DVD
¥4,500 (tax out) AVBD-92888
PROFILE
アイナ・ジ・エンド、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの6人からなる楽器を持たないパンク・バンド。BiSを作り上げた渡辺淳之介と松隈ケンタが再びタッグを組み、彼女たちのプロデュースを担当する。ツアーは全公演即日完売。1stシングルはオリコン・ウィークリーチャートで10位を獲得するなど異例の快進撃を続けている。