【BiSH】Episode72 セントチヒロ・チッチ「2020年は新しい自分たちを見つける年」
全国19箇所23公演に及ぶグループ史上最長最大規模のホール・ツアー”NEW HATEFUL KiND TOUR”を完走し、そのツアー・ファイナル公演となったNHKホールで圧倒的なライヴを行った"楽器を持たないパンクバンド”BiSH。今年は紅白出場を目指す事をはっきりと宣言し、ますます勢いが止まらないBiSHに、11周目となるメンバー個別インタヴューを敢行。第3回は、セントチヒロ・チッチの声をお届けする。
BiSH、6作目のシングルをハイレゾ配信
INTERVIEW : セントチヒロ・チッチ
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 井上沙織
写真 : 大橋祐希
清掃員の存在って大きいなと改めて感じています
──現時点(取材日3/6)でBiSHもライブが中止になるなど、コロナウイルスの影響を受けていますね。〈WACK FUCKiN'PARTY〉で無観客ライヴをやってみてどうでしたか。
セントチヒロ・チッチ(以下、チッチ) : 配信を観ている人たちには会場にいる気持ちになってほしかったから精一杯やりました。お客さんがいるつもりで目配せをしたり煽ってみたりして。でも切なかったですね。お客さんがいてこそライヴは成り立つもので、お客さんの声が欠けてしまったら私たちのライヴは生きていないなって。精一杯届けているつもりでも寂しい気持ちもありました。
──今までずっと目の前にはお客さんがいましたからね。
チッチ : 無観客ライヴの後、思い返していたんです。お客さんの前で私たちはいろんなことをしてきたし、すごい悪い空気になって泣き喚いたときもあったし、馬鹿みたいなことをやってたときもあったし、失敗して笑ってたときもあった。それも全部お客さんがいてひとつの思い出になっているから、清掃員(※BiSHファンの総称)の存在って大きいなと改めて感じています。
──ライヴ以外の仕事は進められているんですか?
チッチ : いまのBiSHには与えられたことを精一杯やることしかできないですね。だけど時間ができたことで、ひとりでやりたいことに集中できてます。自分を見つめ直したり、曲作りをしたり。
──この間はイベントでDJもやっていましたよね。
チッチ : 本当は「ライヴをしてほしい」って言われていたんですけど、いまの自分は大きなステージに1人で立って歌うべきじゃないと思ったからDJにさせてもらって。DJは初めてだったので、友達に教えてもらったりしながら毎晩スタジオで練習してました。仲間の大事なイベントで、私も大好きなイベントだから、呼んでもらったからには出し切りたいなって。
──初DJはどうでしたか。
チッチ : 緊張しすぎてあんまり覚えてないです。分からないことだらけで、ノートにBPMとか時間とか全部書き出してそれを持っていってやったんですけど、「そんな真面目な人いないよ」ってみんなに笑われました。
──そうですね(笑)。
チッチ : せっかく機会をもらったのに「全然できないじゃん」って思われたくなくて。でもすごい楽しかったです。歌わないって決めたからこそ、観に来てくれた人に来てよかったって思ってもらえる瞬間がほしかったので「BiSH -星が瞬く夜に」でマッシュアップを作って流したり。これがあったから結構心強かった(笑)。
──今後もDJはやりたい?
チッチ : はい!せっかく始めたからちゃんとやっていきたいですね。好きな曲を聴いてもらえる機会って、ラジオとかだけじゃなくてこういうところにもあったんだってわかったので。
──チッチ主催の〈THAT is YOUTH!!!FES vol.2〉はどうでしたか。
チッチ : 突然少年がすごくよかったので反省しています。ライヴ自体はよかったんですよ。BiSHと突然少年のライヴは100点だけど、セントチヒロ・チッチ的には50点くらいで。私の悪いところが出たなと。
──どういうところが?
チッチ : 私は熱量を表に出すのが苦手で、言葉にして愛を伝えることがなかなかできなくて。準備は頑張れるんですけど、始まったら委縮しちゃうというか、もっとこうしておけばよかったなって思うことがよくあるんです。FEVERで突然少年と2マンができたことの嬉しさを、格好つけてお客さんに伝えきれなかったから、もっと伝えるべきだったなって思いました。
──チッチ主催のイベントも2回目でしたけど、前回から変わったことはありました?
チッチ : BiSHのメンバーが楽しそうでした。みんな突然少年のことを知ろうとしてくれてたのが伝わったし、突然少年もBiSHを知ろうとしてくれているのが伝わってきたから、あたたかい日でしたね。彼らみたいな青春の塊みたいなバンドとBiSHが触れ合ったときに生まれる何かが見たかったんです。私はBiSHが少女になる瞬間を見たくて、それがあった気がします。ライヴだけじゃなくて、その日1日を通してキラキラしているメンバーの顔が見れたからやってよかったなって思ったし、お客さんたちもキラキラして見えました。
紅白は絶対に立ちたい場所です
──前回の取材から半年以上経っているので少し遡って話を聞かせてほしいんですが、大阪城ホールでのライヴはどうでしたか。
チッチ : あの日は私たちにとって挑戦の日で。いつだって挑戦しているんですけど、地方のアリーナでやるのは初めてだったので、どんな日になるのか分からなくて怖かったんです。私は変に緊張して、いつも間違えないようなところで振りを間違えたりしていて。終わってからみんなに謝ったんですけど、みんな笑ってました。それでもBiSHの最大限を出せた日だと思います。私にとって9月23日は真っ赤なイメージになりました。
──真っ赤なイメージ?
チッチ : 自分の中で色のイメージが湧く日があって。理由づけできないんですけど、その日は赤だったんですよね。衣装も赤かったし。あとバンドセットでできたのもよかったです。フェスとかでチームワークが生まれて、そこから大阪城ホールも一緒にできたから、個々のパワーではなくて塊のパワーを押し出せたし、バンド・メンバーもBiSHとして立ってくれていたなっていうのはすごく感じました。
──なるほど。赤い日、面白い表現ですね。BiSHとしてはリリースやメディア出演が続いて忙しかった中での開催でしたよね。
チッチ : 忙しかったですね。でも幕張も大阪城ホールも未知の世界だったけど1歩ずつ進んできて、また1歩前に進みたいという気持ちになりました。まだまだ満足はしていないですけど、目標はちゃんと見えたというか。
──次はどこなんでしょうね。そしてその先にはやっぱりドームがあるのでしょうか。
チッチ : ドームは私にとって終着点というか。BiSHが始まったときからずっと目標にしていて、それが何歩目かは分からないけど、たどり着く場所は東京ドームだと思っています。ただ、その間にもやりたいことはたくさんあって。その中で紅白は絶対に立ちたい場所です。
──NHKホールのMCで「紅白に出ます」って言ったの最高でしたよ。
チッチ : みんなは「紅白出れたらいいな」って言ってたんですけど、私は「出ます」って言わなきゃダメだと思って勝手に言っちゃったんですよね(笑)。言葉にしないと伝わらないものもあるし、言葉にすることで私たちもそこに向かわなきゃいけないから。
──ドームは終着点で、次は紅白ですかね。
チッチ : もちろん終着点からその先も新しく目指していけたらいいと思っているので、そこが終わりとは言わないけど、山の頂上が東京ドームって感じです。そこからは空を飛んだらいいと思う(笑)。
私は天才じゃないから、何ができるのか考えるようになりました
──〈NEW HATEFUL KiND TOUR〉はどうでしたか。
チッチ : ホールツアーだったから、観たときに面白いって思ってもらえるようにしたくて、ショーとして作り込みました。振り付けとか間とか表情とか、そういうのもひとつひとつ繊細にしていけるようになったから。
──それはメンバーで話し合って?
チッチ : みんなで話し合ったあとにライヴ制作のスタッフさん達とも話し合って、照明さんともいろいろ試行錯誤しました。BiSHも6年目で、初期の頃とは思考回路も変わってきていて。どうしたら面白くなるのかっていうのも考えるようになりましたね。アイナの振り付けも年々面白くなっていて、努力していろんなところからインプットして、それを私たちにアウトプットしてくれていると思うんです。いままでの私たちを越えていくには新しいことを見つけていくしかないと思っていて。BiSHは変わらないけど、いろんなことに挑戦する姿が出せるツアーっていうのは楽しかったし、いいツアーだったと思います。
──BiSHをずっと観てきていて、メンバーそれぞれに良くなったなってタイミングがあるんですけど、この間のツアーではチッチとアイナが急激に覚醒したなと感じたんですよね。
チッチ : 私は自分の感覚を大事にしていて、去年掴んできた自分の感覚を存分に出せたのが今回のツアーだったんですよね。それがパワーに繋がっていたのかもしれないし、自分の在り方っていうものを表現できていたのかもしれない。正直自分では分からないですけど。みんなもそれぞれちゃんとやってきただろうし。この半年、1人で仕事をすることが増えたんです。その中でどれくらい自分を成長させられるかって人によって全然違うと思うんですけど、アイナは自分を成長させられる人だと思うんです。ソロの仕事もして、その中で自分をちゃんと見つけてくる。アイナの強さがそこにあるというか。その姿にプラスの刺激をもらっていますね。昔はマイナス思考でしたけど。
──マイナス思考というと?
チッチ : メンバーと比べて自分のよくないところばかりに目がいってしまって、「あの子は産まれ持ったものがあっていいな」って思ったりして。でもそうじゃないんですよね。見えないだけでたくさん努力をしていて、流した涙はすごく多かったと思うし。それに対して、自分はどれだけ頑張れていなかったかとか、自分がどれだけ努力したらなりたい姿になれるのかっていうのがわかっていなかった。私は天才じゃないから、何ができるのかっていうのを考えるようになりました。
──いい話ですね。BiSHをもっと成長させるにはどうしたらいいと思いますか?
チッチ : 私は海外公演をやりたいです。ただ単に海外に行きたいとかじゃなくて、海外だから壁にぶつかることもあるだろうし、そこで見つけられる自分たちの在り方もあると思うから、そこに行ったBiSHを観てみたい気持ちがあります。海外から会いにきてくれる人に私たちが会いにいきたいっていう気持ちもありますし。
──新しいことにチャレンジしていきたいですか。
チッチ : BiSHって向き合うのが苦手なんですよね。だから過去を見返して何かをやってみるというよりも、新しい自分たちに挑戦していって強化されるほうが向いていると思っていて。2020年は新しい自分たちを見つける年のような気がしていて、メンバーそれぞれやれることが違うから、6人で切磋琢磨して、去年蒔いた種を成長させる年にしていきたいなと思っています。
LIVE SCHEDULE
ワンマンツアー〈BiSH'S GASP!!GOLD!!GHOST!!GALAXY!!GARBAGE!! TOUR〉
2020年5月21日(木)@神奈川 KT Zepp Yokohama
2020年5月30日(土)@宮城 仙台GIGS
2020年6月4日(木)@東京 Zepp Tokyo
2020年6月12日(金)@福岡 Zepp Fukuoka
2020年6月20日(土)@大阪 Zepp Osaka Bayside
2020年6月28日(日)@北海道 Zepp Sapporo
2020年7月3日(金)@愛知 Zepp Nagoya
対バンツアー〈BiSH’S 5G are MAKiNG LOVE TOUR〉
2020年5月31日(日)@宮城 仙台GIGS - BiSH and ???
2020年6月5日(金)@東京 Zepp Tokyo - BiSH and ???
2020年6月13日(土)@福岡 Zepp Fukuoka - BiSH and ???
2020年6月19日(金)@大阪 Zepp Osaka Bayside - BiSH and ???
2020年7月4日(金)@愛知 Zepp Nagoya - BiSH and ???
※???は、後日発表。
チケット料金情報 :
■通常チケット
1Fスタンディング 5,000円(税込・ドリンク別)
2Fスタンディング 5,000円(税込・ドリンク別)
2F指定席 6,000円(税込・ドリンク別)
年齢制限/ 未就学児童入場不可
◆BiSHファンクラブ抽選先行
【受付日程】 3/21(土) 18:00 ~ 3/24(火)23:00
https://bish.fc.avex.jp/
◆WACK FAMiLY CLUB先行
【受付日程】 3/21(土) 18:00 ~ 3/24(火)23:00
https://wackfamilyclub.com/
◆HP抽選一次先行
【受付日程】 3/25(水)18:00 ~ 3/30(月)23:00
http://w.pia.jp/t/bish/
前回の記事はこちら
RELEASE INFORMATION
Live Blu-ray / DVD「And yet BiSH moves.」
2020.01.15 OUT!!
[初回生産限定盤]
Blu-ray+Live CD2枚組+PHOTOBOOK(100P)
それでもBiSHは開けているBOX仕様
¥10,000 (tax out) AVXD-92887/B~C
[DVD盤]
DVD
¥4,500 (tax out) AVBD-92888
PROFILE
アイナ・ジ・エンド、モモコグミカンパニー、セントチヒロ・チッチ、ハシヤスメ・アツコ、リンリン、アユニ・Dの6人からなる楽器を持たないパンク・バンド。BiSを作り上げた渡辺淳之介と松隈ケンタが再びタッグを組み、彼女たちのプロデュースを担当する。ツアーは全公演即日完売。1stシングルはオリコン・ウィークリーチャートで10位を獲得するなど異例の快進撃を続けている。