〜Never Summer End〜 みきちゅと行く海‼ アイドルたちが過ごした、それぞれの夏。由比ヶ浜海岸をバックに、彼女たちが描く未来とは⁉
「歌って踊れる」とか「若くてかわいい」なんて常識はもう昔の話! と言わんばかりに、その個性が音楽性だけじゃなく年齢やファッションにまで広がりを見せる近頃のアイドル業界。そんななか16歳から活動をはじめ、作詞作曲プロデュースまで全部自分でやってのけちゃう“アイドル・シンガー・ソングライター”のみきちゅが、先日アーティストへの転向を理由に10月24日のライヴを最後に活動休止宣言をしました。今回はそんなみきちゅの“今”に迫りつつ、彼女と親交の深いアイドル達4人(ゆるめるモ! もね、エレクトリックリボン erica、BELLING少女ハート もえち、ぱいぱいでか美)に集まってもらって、個別インタヴューと雑談形式での合同インタビュー@海を行いました!
ってことで、まずは、個別インタビュー編!
企画の発端は、TIFで活動休止を発表したあとすぐ、みきちゅに取材をした時。みきちゅは、その日すごい疲れているように見えたので、大谷マネージャー(みきちゅマネージャー)に「こんなに疲れてるんだったら、みんなで海に行ったら元気でるんじゃないですかね? アイドルもリフレッシュが大事ですよ!」って言ったら、まさか実現してしまったぁー! ってことで、みきちゅと親交の深いアイドル4人で海に行ってきました。でも、あれあれ... みんな一様に悩みを抱えていたり、不安だったり、そうじゃなかったり...。 でもみんなちゃんと真っすぐ前を見てて... なんか海の景色とも相まって、過剰に感情移入してしまいましたっ! そんな、海辺でのアイドルの取材をどうぞ!
インタヴュー&文 : 飯田仁一郎
構成 : 天野東成
写真 : 大橋祐希
~みきちゅ編~
——この夏の思い出を聞かせて下さい。
みきちゅ : 人生が変わるほどの夏でした、まさか自分がみきちゅを失うことになるとは思ってなかったから。活動休止を決めたあとも、辛いことがいっぱいあって...。
——何があったんですか?
みきちゅ : みんなのなかでそれぞれのみきちゅがあって、ほんとに難しいと思いました。応援してくれるみんなのことだけを考えてずっとやってきたし、曲の歌詞にも色んな想いを込めて歌ってきたけど、自分が思っていたよりうまく伝えられてなかったのがすごいショックで。
——活動休止を発表することによって、決意は固まりましたか?
みきちゅ : 固まりました。「やめないで」とか「ほんとにみきちゅがやりたいことだったら今と違う形でも見てみたい」って言ってくれる人もいれば、「演技の道に進むんだったら嬉しい」って言ってくれる人もいたり。でもそれはごく一部で、「裏切られた」とか「全部無駄だった」と思われたりもしてると思う。私は死ぬまでみきちゅをやっていくと真剣に思ってたし、ずっと歌い続けるって約束していたので、そう思われて当然だとは思ってます。今までみんなのことを考えてやってきたつもりだったけど、その愛が届いてなかったのかな、と思うと悲しいなあ。
——失恋した女の人みたいなテンションですね(笑)。ファンの方達を見ていると、驚きを通り越してよく分からないといったような状態に見えました。
みきちゅ : もう失恋と一緒ですね。アイドルは永遠じゃないっていうことをずっと歌ってきていて、去年ぐらいから発表する曲は全て終焉が待っているかのような歌詞で。私はずっとみきちゅを続けていくつもりだったけど、いつか必ずどこかで変わっていかないといけない。それがアーティスト宣言をして前に進んでいくのか、アーティスト宣言をしないでやんわりと進んでいくのかは分からないけど、いつかは可愛い曲とか、可愛い衣装を着て歌えなくなるっていうアイドルの寿命みたいなものをすごい感じてて。自分の中の美しいアイドルにも年齢とか見た目とか、私自身アイドルが好きだからこそのこだわりがすごくあって。だからこそ、1月に発表した「可愛い屋さん」もかわいいは一生続かないことを分かって生きてるってことを歌っていたし、去年10月に発表した「守ってね」っていう曲は、発表する前は「アイドルを辞めるとき」って仮タイトルだったんです。
——夏から今にかけて未来は見えてる状況ですか?
みきちゅ : 頑張ってみようとはしています。
——前回インタヴューさせてもらった時は、休止宣言してもワンマンのことしか考えてないから、それを見に来て欲しいと言っていましたが、実際今はいかがですか?
みきちゅ : みきちゅじゃなくなったら何にでもなれると思ったら気持ちが楽になって。最初はやっぱりみんな色んな言葉をバーっと投げてきたけど、時が経ってみんな「戻って来るのを待ってる」って言ってくれて。こういう結末になっても待っててくれる人がいるってほんとにすごいことだから、早く戻ってこなきゃいけないなという気持ちと、中途半端では戻れないから、みきちゅとは違う新しいことをしないとなっていう気持ちです。
——今日一緒に来てくれているアイドル仲間達は、発表して支えてくれたり言葉をかけてくれたりはしましたか?
みきちゅ : エレクトリックリボンのericaちゃんとはほんとに色んなことをよく話す中で、「みきちゅの重大発表が良い発表だって信じてるからね」って連絡をくれて、たぶんそれには色んな意味が込められてて。だから先に言いました、「辞めるんだ」って。
——1ヶ月前よりもさらにみきちゅさん自身が重くなっているんですね。
みきちゅ : すぐ感傷的になってしまって。先日〈夏の魔物〉(AOMORI ROCK FESTIVAL '15〜夏の魔物〜)に出たんですけど、もう来年みきちゅの居場所がないんだ、みきちゅを失って私はこれからどうするんだろうってって思いました。こんなに頑張ってきたのに、こんな簡単に数ヶ月でなくなってしまうのかと思ったらすごい怖くて。自分はどこに行くべきなのか、どれだけ中身を考えればアイドルのフィールドで歌い続けていけるのか、おもしろいとか変とか人を傷つけるようなことのほうが受け入れられるのかなとか、みきちゅの存在意義が分からなくなってきました。
——今は悩んでいる時期なんですね。
みきちゅ : 今までやってきたことを疑いたくなる気持ちと、やっぱりやってよかったって気持ち。自分で作詞作曲して、キャラも作らずに正統派アイドルを作るって決めた瞬間から、終わりのカウントダウンが始まっていた気はしています。
——とにかく終わらないと何も進まないし、1番しんどい時なんですね。みきちゅさんにとって海の思い出って?
みきちゅ : このあいだ〈OTODAMA〉(OTODAMA'15~音泉魂~)が、活動休止を発表する前の最後の大きなイベントだったんです。みんな新曲を聴きにたくさん来てくれて。でも辞めますって言ったTIFの後の弾き語りのほうが集客が多かったので、もっとみんなをOTODAMAに連れて来たかった。あとは去年女友達4人で青森の海に旅行に行ったけど、それもどこにも書いてない。全部ひとりでやってて、旅行中メールとか電話も全部返して。だけど遊んでるって言ったら、「遊んでないでメール返せよ」とか関係者の人に思われたら嫌だなとか、それが仙台のライヴの前だったから、「遊んでないで準備してろよ」とか、そういう風に手を抜いてると思われたら怖いと思ってどこにも書けなかった。
——もうワーカホリックみたいな状態ですね。
みきちゅ : だから自分自身がみきちゅに囚われすぎて、みきちゅはほんとにずーっとみきちゅがよかった。
——ワンマン終わってひとつ越えたら、少しだけ楽になれたらいいですね。そしたら今の息苦しい感じも消えていくと思いますよ。
みきちゅ : 10月24日で終焉だけど完成なんですよ。そのあとは何にでもなれるから。「え、昔は?」とか思うかもしれないけど、同じ脚本家さんが書いた違う作品みたいな気持ちで見て欲しい。思い出してくれるのは嬉しいし、曲はずっと生き続けると思って書いてたので、ずっと好きでいてくれたら嬉しいです。あとアルバムを出します。この2週間くらいずっと毎日スタジオで作業やってて。あと新曲は人の手を借りつつ、私が編曲しました。最後に伝えたいことが多すぎて嬉しいことも悲しいことも全部歌詞に書いたんですけど、その内容がすごく重くて。こういう歌詞はやっぱりアイドルのフィールドには合わないと思いました。お母さんの前で歌詞朗読したら「気持ち悪い」って言われたから(笑)、 全部書き直して。
——それはいつ頃になりそうなんですか?
みきちゅ : ワンマンの直前、10月21日ですね。これに間に合うようにスタジオのエンジニアさんもずっとやって下さってて。
——最後の質問ですが、みきちゅさんにとって夏とは?
みきちゅ : 自分の成長を感じられる季節。だから来年の夏はもっと楽しくて、すごいことを起こしていたいです。
~ゆるめるモ! もね編~
——ゆるめるモ! ともねさんの現在の状況を教えてください。
もね : これまで4人で活動していた時期が長かったので、2人復帰してから6人でやることの難しさを感じています。4人でやってた頃のライヴは、人数が少ないぶん攻撃的なものが多かったんですけど、私はそういうのが苦手なので6人になってからそれをどういうふうに表現すれば良いのか分からなくて戸惑っている感じです。
——4人でやってた頃の良さもあるから、いざ自分が戻ってみると、どうしたら良いのか分からなくなってる時期なんですね。
もね : そうですね。ライヴでバンドさんと一緒になることも多いんですけど、その時は何か面白いことやらないとなかなか見てもらえないし、かと言ってきっちりパフォーマンスをしてるだけでもアイドルとしては上に行けないから、そこのメリハリをつけていくのが課題です。
——ではこれからはもう一度6人でやっていこう、という感じなんですね。
もね : そうですね、色々考えながら模索中です。
——先日みきちゅさんが様々な不安や焦りから、アーティストへの転換を目指して活動休止を発表されましたが、もねさんはそういった焦りとか不安というのはありますか?
もね : 不安だらけですね。私はもともと女優を目指していて、グループに入ったのもそれがきっかけだったんです。でも、いざ入ってみると両立はすごく難しくて、将来どうしたいのか分からなくなっている状況で。この前活動休止したのには、そういったことも影響しています。
——なるほど。その答えはまだ出ていないということですか。
もね : そうですね。戻ってきてそれまでの自信がどんどん失くなっちゃって。それは自分の意思の弱さだったり、パフォーマンスのことだったりするけど、一番は自分のことを上手く表現出来ないからなんです。
——みきちゅさんとも付き合いが長いもねさんですが、活動休止の発表を受けてどのように感じましたか?
もね : みきちゅは意思が強い娘だから、何か超ショックなことがあったんじゃないかって心配しました。でも色々理由を聞いたら、みきちゅらしいなって私も納得して。
——もねさんが今一番の目標でありプレッシャーと感じているのは、やはり12月にあるZepp Tokyo公演ですか?
もね : そうですね、もう決まっちゃったし埋めるしかないので。
——海の思い出を聞かせてください。
もね : もともとあんまり海には行かないので、小さい頃家族で海に行ってクラゲに触って怒られたぐらいで、あまり良い思い出ってないですね(笑)。
——ではもねさんにとって、夏とは何ですか?
もね : 「夏休み」ですね。休みたいです(笑)。
~エレクトリックリボン erica編~
——エレクトリックリボンとericaさんの現在の状況を教えて下さい。
erica : 10月にうちのリーダーが辞めてしまうので、今後がすごい不安ですね。
——彼女が作詞も作曲も全てやっていましたよね。
erica : そうなんです。でも、4人でもやっていけることはいっぱいあるし、協力してくれる人たちもたくさんいるので、甘えさせてもらいつつ自分たちの音楽を続けていければ。
——ericaさんにとっては激動の夏だったんですね。
erica : 去年の夏から人が辞めていって、事務所辞めて、新メンバーが入ったと思ったら今度はリーダーが辞めちゃって、ずっとこういう感じなんです。でも私がここでやめるわけにはいかないから。
——アイドルを続ける上で年齢的なことから来る不安や焦りからアーティストへの転向を目指す人もいる中で、ericaさんはどういうふうに考えていますか?
erica : 私たちはそこまでアイドルを意識してるわけではないので、そこは見てくれてる人の受け取め方なのかな、と思います。
——これからどう変わって、どう続けていくか悩む時期ですね。
erica : 今は全くのフリーで活動していて、もうどうしようもないところまできてるから、自分たちで何とかする気持ちを持って、例えばメールの返信だったりセットリストを出すこともみんなで声かけあってやってかないと無理だよって話をしていて。
——海の思い出を聞かせて下さい。
erica : 2年前の〈OTODAMA〉でファンの人が買ってきてくれたスイカを、BiSHの渡辺さんが転んで落としちゃってみんなが爆笑してるなかで、渡辺さん一人だけすごい申し訳なさそうにしてるのが超面白かったです(笑)。
——海っていうより渡辺淳之介さんの思い出ですね(笑)。ではericaさんにとって夏とは?
erica : エレクトリックリボンに入ってからは夏がかきいれ時なので、みんなが楽しいときに楽しみを提供する季節です。
~BELLING少女ハート もえち編~
※もえちの脱退を知らされる前のインタヴューになります
——BELLING少女ハートともえちさんの現在の状況を教えてください。
もえち : 3月に新メンバーが入って、ミニ・アルバム『13 WEEKS LATER EP』を出して今そのアルバムの楽曲をよくライヴでやっています。私は、新メンバー入ってすぐの時に「もうダメだ」思った時期がありました。それまで6人でベルハーをやってたから、新メンバーが入ってきて人見知りというか受け入れきれてなくて。でもライヴを一緒にやっていく中でだんだん仲良くなってきて、最近は7人で頑張ろうっていう気持ちがすごいあって前向きです。具体的なヴィジョンも見えてきて、毎回のライヴに目標を持てるようになったので、そこにやりがいを感じています。
——先日みきちゅさんが様々な不安や焦りから、アーティストへの転換を目指して活動休止を発表されましたが、もえちさんはそういった焦りとか不安というのはありますか?
もえち : 大学を卒業して1年経って、私が就職をせずにアイドルを続ける事をファンや関係者の方たちも心配してくれてるんですけど、出来るところまでは続けたいです。でも辞める時は辞めます。
——メンバーの美月柚香さんが抜けた時はショックだったんじゃないですか?
もえち : そうですね。彼女とは家も近くて行き帰り一緒で、彼女の気持ちもいっぱい聞いてたから辛かったです。
——じゃあ今は不安とか焦りはそんなに感じてないということですか?
もえち : 感じてないですね。ベルハー辞める時はベルハーの活動に満足出来た時に辞めようと思ってるので。
——なるほど。自分たちが面白いか面白くないかが評価基準なんですね。もえちさんの海の思い出を聞かせて下さい。
もえち : 海は行くまでが面倒くさくてあまり好きじゃないんですけど、今年5月に母を沖縄の海に連れて行ったんです。本当は私に就職を望んでいた母への親孝行の気持ちを込めて、私が全部お金を出して。
——ではもえちさんにとって夏とは?
もえち : 「家から出たくない」です(笑)。ベルハーがある時以外は、チェキ書いたりアニメ見たりして過ごしています。
※このロケの4日後、就職活動のため来年2月に卒業する内容のコメントを発表
~ぱいぱいでか美編~
——でか美さんの現在の状況を教えてください。
ぱいぱいでか美(以下、でか美) : ライヴ活動を中心にDJをしたりテレビ番組に出演させて頂いたり、いわゆるライヴ・アイドルっていうよりは色んな仕事をさせていただこうという感じで。
——「有吉反省会」出演の反響はどうでしたか?
でか美 : 知名度はグンと上がりましたね、地方に行った時の反応がやっぱり全然違います。あとすごい変な話、ギャラをちゃんと貰えるようになりましたね。反省会出てから(笑)。
——先日パーフェクトミュージックへの所属も発表されていましたが、あれにはどういう経緯があったんですか?
でか美 : ずっとフリーで、マネージャーもいない中やっていくっていうのがしんどかったので、知り合いもいっぱいいて、自分のやっていきたいことをやらせてくれるパーフェクトミュージックを選びました。
——今まで自分ひとりでやってきた中で、パーフェクトミュージックに入って何が変わりましたか?
でか美 : 例えば「有吉反省会」に出たあと、自分ひとりではそこからどうしていけば良いのか分からなかったんです。所属後はそういう部分をサポートしてもらったり、ライヴの時の移動手段も手配してもらえるようになって、ライヴに集中できるようになりました。
——活動の主軸は、どれにしていこうと考えていますか?
でか美 : 今はライヴしかないので必然的にライヴが主軸になっているんですけど、本当はメディアに出たり半々ぐらいでやっていきたいです。タレントのDAIGOさんぐらいのバランスが一番いいなと思います(笑)。
——先日みきちゅさんが様々な不安や焦りから、アーティストへの転向を目指して活動休止を発表されましたが、でか美さんはそういった焦りとか不安というのはありますか?
でか美 : 私はアイドルを自称しないようにしていて。今もミックスを打てるような曲もあれば、ほんとに黙って聴くしかないような曲もあるので、この先続けていけなくなるとはあまり思ってなくて。
——なるほど。では海の思い出を聞かせて下さい。
でか美 : 高校生のときに文化祭の打ち上げが終わった後、海に行って友達と花火をしたりお喋りする時間がすごく楽しかった思い出があります。
——でか美さんにとって夏とは?
でか美 : ここ数年で変わったんですけど、イベントにいっぱい出て、いっぱいオタクと過ごす季節です。汗だくになって応援してくれるのが、ほんとに汚くて可愛らしくて仕方がないです(笑)。