「FAKE」な一面を持つ現実と、どう向き合っていくか
── “My Alien”は、どうでしたか?
橋本:僕らが好きなサイケとかダブとかの要素もありつつ、トリップ・ホップ的な要素を新たに取り入れたりしました。序盤の打ち込みの雰囲気はチボ・マットを意識したりして。
──この楽曲に限らず、今作は3人のアンサンブルがとても仕上がっている印象を受けました。“キリコ”は特に、間奏での三人の演奏が素晴らしかったです。
橋本:海外ツアーを回って、各々が自分の演奏について意識するようになったんだと思います。この曲は、EPの中では最初の方にできた曲でダンスの要素も強いです。日本人の僕らから出たものでもあるし、オランダのYIN YINって好きなバンドがいるんですけど、そういう「欧米から見たアジア」っぽさも入れつつ作りました。
──ベースはどう?
稲葉:“キリコ”も大変でしたね(笑)。この曲はファンク的なアプローチで弾いたんですが、ディスコやファンクってベースのフレーズがある程度決まっている中で、自分の色を出さないといけなくて。かといって出しすぎてもよくないし、そこの折り合いが難しかったです。
──“THE FAKE ESCAPE”はどんな曲になりましたか?
橋本:ぽっと出てきた最初の16小節のアイディアを広げて、肩ひじ張らずに作れた曲ですね。でも自分のムード自体がそこまで明るくなかったので、ポジティヴとネガティヴが混ざり合った歌詞にはなりました。それが結果的に自分らしい曲になった感覚はあります。
──このタイトルは?
橋本:僕らが出た〈The Great Escape〉とは別で、アンオフィシャルでやっている〈The Fake Escape〉というイベントがあって。そのネーミングにハッとしたというか。〈The Great Escape〉も蓋を開けてみたら、協賛企業がイスラエルを支援していて、出演アーティストによるボイコットが起きたりして。自分達は結局出たけど、明るく過ごすわけにはいかないよな、とか、このイギリス・ツアーも「FAKE」なのかとか、いろんな気持ちが混ざり合って。そういった現実とどう向き合っていくかを考えた曲です。
熊谷:僕はサビのコード進行が気に入っています。適当に組み合わせたら、あまり聴いたことないフレーズになったんです。ベースが上手くいってるのであまり違和感ないかもしれないですけど、結構変な進行になっているので聴いてみてください。
──年末年始は〈EP『月刊エスケープ』 release tour “冬将軍からのエスケープ”〉がありますね。ツアーや2025年に向けての思いを教えてください。
稲葉:ツアーでは、久々に行く場所もあるので楽しみです。海外を経験したヘルシンキを見せられると思います。
熊谷:去年のインタビューの時に、「来年は変わった場所でライヴをしたい」って言ったと思うんです。海外は行けたけどあまりそういうことができなかったので、コンセプトをもった変なライヴをしてみたいです。
橋本:僕はライヴにしても音源にしても、やりたいことは尽きないので、作品を作ってる最中でも次の次くらいまで考えてはいるんです。でも最近走りすぎたので、少し休みたいとも思ってて。なので、今回のツアーの反応を踏まえて、また一回白紙から考え直したいというモードですかね。もちろんツアーは全力でやるので楽しみにしていてください!
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編集 : 石川幸穂
海外ツアーでの経験が存分に活かされた、風通しのいいEP
フォトギャラリー
撮影 : 堀内彩香
ライヴ情報
EP『月刊エスケープ』 リリース・ツアー 〈冬将軍からのエスケープ〉
【2024】
12月01日(日) 北海道・札幌BESSIE HALL
12月07日(土) 宮城・仙台MACANA
12月14日(土) 新潟・新潟GOLDEN PIGS
12月15日(日) 石川・金沢AZ
12月21日(土) 広島・広島CAVE BE
12月22日(日) 香川・高松DIME
【2025】
01月18日(土) 大阪・梅田CLUB QUATTRO
01月19日(日) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO
01月25日(土) 福岡・福岡CB
01月26日(日) 宮崎・宮崎ラザロ
01月29日(水) 東京・恵比寿LIQUIDROOM
東名阪爆上げフロア・ライヴ・ツアー2024〈Dragon〉振替公演
※台風10号の影響により名古屋・大阪公演延期
12月10日(火) 愛知・名古屋JAMMIN'
12月11日(水) 大阪・十三 246 LIVE HOUSE GABU
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PROFILE:Helsinki Lambda Club
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2013年夏に結成されたヘルシンキラムダクラブは、ボーカルの橋本薫を中心とした日本のオルタナティヴ・ロック・バンド。
中毒性の高いメロディー、遊び心のある歌詞、実験的なサウンドは、一曲ではガレージロック、次の曲ではファンクやソウルと変幻し、音楽的ジャンルや文化の垣根を越える。
〈FUJI ROCK FESTIVAL〉や〈ASAGIRI JAM〉などの国内でのフェス出演に加え、香港、中国、台湾、シンガポール等でのライヴ、そして〈SXSW〉への出演やイギリス・ツアーを果たすなど、日本のロック・シーンにはかけがえのない存在となっている。
アメリカやイギリスのロックが言語を問わず世界に受け入れられたように、ヘルシンキラムダクラブの音楽もまた、リスナーに高揚感と快感を与える力を持つ。
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